全国学力テスト 競争あおらぬ冷静な対応望む

2007年4月26日 宮崎日日新聞
 「ゆとり教育」批判がこんな形で具体化されてきたとみていい。その実施の姿勢にも性急な印象は否めない。

 文部科学省の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)が行われた。全児童・生徒対象の一斉テストは43年ぶりである。

 全国で小学校6年、中学校3年の233万人余がテストに臨んだ。不参加は公立では愛知県犬山市教育委員会、私立は約4割だった。

 本県でも小中の約420校、約2万4千人が問題に取り組んだ。

 結果を直接に学校評価に結び付けて序列化したり、いたずらに競争をあおらないよう冷静な対応が必要だ。

■序列化過熱する恐れ■

 調査目的に挙げられているのは、国の教育施策検証と、学校の教育改善の二つだ。

 まず問題なのは、結果を受けて国としてどう対応するのか、基本的な構えが見えてこないのだ。

 「結果の悪い学校の底上げにつなげたい」(文科省)という考えの一方で「教育の質の高い学校を予算で優遇」(教育再生会議)などの案や、学校選択制度の全面的導入につなげようという動きもある。

 結果を受けてどうするのか。肝心な部分を明らかにしないのは無責任のそしりを免れない。格差解消の手だても示さないまま競争強化に向かう…。それが正直な印象だ。

 もう1つある。教委、学校による教育改善も「全国的な状況との関係において自らの教育の結果を把握し改善を図る」という触れ込みだ。

 つまりは序列を知り順位を上げる努力をしろ、ということになる。

 順位が独り歩きすれば、競争に勝つことが自己目的化するのは避けようがない。

■国の教育介入が進む■

 結果公表についても、文科省は「個々の学校名を明らかにした公表はしない」とし、序列化や過度な競争につながらないよう配慮を求めてはいる。

 しかし一方で、「市町村教委・学校は結果を保護者に説明することができる」ともしている。リスクの種をまきながら「後は知らない」と言っているようなものではないか。

 結局、結果をどう公表するかなど責任はすべて教育現場を預かる教委、学校にのしかかってくる。
 一つ対応を誤って競争過熱ということになれば、地域で積み上げた多くの創意工夫などひとたまりもない。

 今回のテストで測れるのは、特定の教科のごく一部の学力でしかないことを肝に銘じてほしい。

 その結果を過大に扱い、学校選択の道具や教員評価に直結させることにでもなれば、学校に「テストのための勉強」がはびこり、現場主義の教育改革など一気に押し流されてしまう。

 政府の言う義務教育の構造改革は、学習指導要領という計画と学力テストという検証に国が責任を持つものだ。

 だが、計画と検証を握れば国のコントロールが強まり、教育の地方分権など絵に描いた餅もちになる。

 国の政策検証のためのテストなら全員対象でなく抽出調査で十分であり、現場の検証は教委と学校が自らの責任で行うのが基本ではないか。

 「自ら学ぶ力」をどう育てるか。その主役は市町村教委、学校である。全国学力テストという「おばけ」に振り回されてはいけない。
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「学力テスト拒否せず」 北教組書記長会見 反対姿勢は堅持

04/19 北海道新聞
 北教組の小関顕太郎書記長は十八日、道庁別館で記者会見し、文部科学省が二十四日に行う全国学力テストについて、市町村教委が市町村や学校単位の成績を公表しないことを条件に、当日は「非協力という対応はとらない」と発表した。

 小関書記長は「当日の労務拒否を強行しても、(非組合員の教員が対応できるため)子供がテストを受けるのは事実。責任を果たしたことになるのか」と説明。市町村教委が公表に踏み切らないよう監視を続け、責務を果たしていく考えを表明した。

 道教委が今年二月、非協力の教員には「厳しく対処する」と警告したことが影響しているかについては「関係ない」と否定した。

 北教組は、成績が公表されれば「学校や地域が序列化される」懸念があるなどとして学力テストに反対してきた。しかし道教委が今月十二日、北教組に「市町村単位の成績公表をする意思はない」「市町村教委にも公表しないよう要請している」などと伝えたことから、一定の歯止めはかけられると判断した。

 学力テスト反対の姿勢は堅持し、テスト実施後に浮かび上がった問題点を指摘し、来年以降の中止を働き掛けていく。

 これに対し道教委の穂積邦彦学校教育局長は「学力テストには道内全百八十市町村の参加が決定しており、円滑な実施に向け万全を期したい」と述べた。

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受験企業誌に文科局長

2007年4月24日(火) 「しんぶん赤旗」
石井議員指摘 学力テストの委託先
 全国一斉学力テストの採点・回収などの業務を文部科学省から委託されている受験産業大手のベネッセコーポレーションが発行している雑誌『VIEW21』に、文科省の担当局長などが登場し、学力テストの意義などを語っている問題が、二十三日の衆院教育再生特別委員会で明らかになりました。日本共産党の石井郁子議員が指摘したものです。

 登場しているのは、文科省の銭谷真美初等中等教育局長や学力調査室長の高口努氏、全国学力調査の「専門家検討会議」座長を務めた梶田叡一氏などです。学力テストを受託した企業の雑誌で、文科省の担当者がテストを宣伝している実態に、自民党委員から「まるで官製談合だ」との声が上がりました。

 伊吹文明文科相は「学力テストを利用して商売としてやっているのは、企業としては決していい企業ではないという印象を持っている。職員に企業との関係について厳しく言っている」と答えました。

 石井氏は、二〇〇四年からベネッセの雑誌に十人近くの文科省の役人が出ていることを示し、「まるで文科省公認の機関誌のようだ。テストの委託は先にベネッセありきだったのではないか」と批判しました。
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学力テストで個人情報収集

2007年4月21日(土) 「しんぶん赤旗」 二十日の衆院教育再生特別委員会で、日本共産党の石井郁子議員は、二十四日実施の全国一斉学力テストが抱える数々の問題点を安倍晋三首相にただしました。

法に違反する
 一斉学力テストでは、国と民間企業がテストを受けた児童・生徒の個人情報をにぎることが大きな問題になっています。

 学力テスト当日は、テストのほかに「児童・生徒質問紙」に答える時間があります。昨年の予備調査には、個人の氏名や出席番号を書かせてから、「一週間に何日、学習塾に通っているか」「家の人と旅行に行くか」などプライバシーにかかわる項目が並んでいました。

 個人情報保護法一六条は「個人情報取扱事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、…利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならない」と定めています。

 石井氏 本人や保護者の同意は得ているのか。

 伊吹文明文部科学相 保護者の同意は求めていない。実施要領を公表しているから十分理解をいただいていると思う。

 石井氏 同意は得ていないということだ。個人情報保護法違反だ。民主主義の基本のルールにかかわる大問題だ。

 石井氏が次に安倍首相の答弁を求めたのに対し、伊吹文科相は首相をさえぎって釈明を試みました。

 「明日の『赤旗』に(保護者の)同意を求めない、と認めたと書かれると困ります。本人には説明し、同意をするから(テストを)受けている」

 石井氏は「そういう答弁で済ますわけにはいかない問題だ」と厳しく批判しました。

企業に丸投げ
 全国一斉学力テストは、小学校はベネッセコーポレーション、中学校はNTTデータが文部科学省から受託しています。民間産業に丸投げすることに不安が広がっています。

 石井氏は、ベネッセが各小学校あてに送っているダイレクトメールを取り上げました。そこには「全国学力調査が四月二十四日に予定されておりますが、ベネッセコーポレーションの総合学力調査を学校様独自でもご実施いただくことで以下のことを実現できます」と書かれています。児童一人に付き七百円で、全国学力テストを自社の独自テストの売り込みに利用するものです。石井氏は「重大問題だ」と追及しました。

 文科省の学力テストの委託契約書では、事業を受託したことで営業行為を行うことを禁止しています。安倍首相は「文科省は厳正に対処していると聞いている」と述べました。

 ところが石井氏は、ベネッセが「通常の営業・販促活動を行うことに関しては、特に問題がないと考えている」と居直っている実態を指摘し、首相の認識は甘いと批判しました。

学ぶ意欲奪う
 学力テストの公表と学校選択制がリンクすることで各地で弊害が起こっています。学力テストが実施され、多くの自治体で学校選択制を導入している東京都では、学校で「おまえがいると成績が下がるから休め」と言われるなど子どもが傷ついています。石井氏は「これでは子どもたちから学ぶ意欲を奪うことになる」と批判しました。


2007年4月23日(月) 「しんぶん赤旗」
個人情報など問題山積 あす全国一斉学力テスト

 全国の小学六年生と中学三年生、約二百四十万人を対象に「全国学力・学習状況調査」(全国一斉学力テスト)が二十四日に行われます。学年全員が一斉に受けるテストは四十三年ぶりです。

 テストは国語と算数(数学)の二教科。併せて生活・学習状況を記入する「児童・生徒質問紙」の時間があります。テストの採点・集計は、ベネッセとNTTデータが文部科学省から委託されています。

不参加の自治体も
 国公私立の小中学校約三万三千校が参加しますが、愛知県犬山市教育委員会は「教育への競争原理導入で、豊かな人間関係の中で人格形成と学力保障に努めてきた犬山市の教育を否定することになる」として、不参加を決めています。私立も四割にあたる約三百三十校が参加しません。

 学力テストは、文部省(当時)が一九五六年から小中高の5―10%を抽出する形で開始し、中二、中三は六一年から全員調査も行われました。しかし、学校や地域間の競争が過熱化し「学力コンクール化」の批判が出たため、六六年度までで中止しました。

 今回も学力テストは、競争教育をいっそう激しいものにし、全国の学校と子どもたちを「序列化」するものとの批判が高まっています。その際、九月ごろに予定されるテスト結果の公表の仕方が問題となっています。

序列化につながる
 政府は、「国全体や都道府県の状況を発表する」として、序列化につながらないよう限定して公表するとしています。

 しかし、日本共産党の石井郁子衆院議員の追及に、安倍晋三首相は「学校を通じて父兄に公表していく」(二十日の衆院教育再生特委)と答えました。学校ごとの保護者への公表であっても、それらを集計して順位づけることは、十分可能であり、警戒が必要です。

 文科省も結果の扱いは市町村、学校に委ねていますが、公表にあたっては「序列化につながらない取り組みが必要」としています。

無記名の希望増加
 昨年の予備調査で、児童・生徒質問紙に「家の人と旅行に行くか」などプライバシーにかかわる項目があり、個人情報保護の点からも反発が広がっています。

 小森陽一・東京大教授ら八人が呼びかけ人となって、「子ども全員の個人情報を企業にゆだねることに反対し、個人情報保護法・憲法にもとづく対応を求める」アピールを二日発表しました。

 中三は個人ごとの番号を書くだけですが、小六はすべて記名式です。

 こうした批判を受け、文科省は、「例外」として小六でも氏名でなく番号方式で実施することも認めました。大阪府や京都府は全教委が番号方式を希望しています。

 京都府の九人の小中学生は十六日、学力テストは「個人情報の獲得が主たる目的だ」として、京都地方裁判所にテストの差し止め仮処分を申し入れました。
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考える力、試す…全国学力テスト

2007年4月25日 読売新聞
 約233万人の小学6年生、中学3年生が取り組んだ全国学力テストが24日、行われた。

「記述」重視へ変化 表現力など向上目指す

 学力低下の指摘を受けて実施された今回のテストには、日本の子供たちが苦手としてきた記述式問題が多数盛り込まれた。43年前に実施された同種テストと比較すると、国が子供に求める学力像の変化も浮かびあがる。(社会部 村井正美 松本英一郎)

 「国としてどういう学力を身につけてほしいか。そのメッセージを問題の形で示した」

 テストの問題を作成した国立教育政策研究所の惣脇宏・教育課程研究センター長は、24日午後の会見でそう述べた。

 例えば、小学6年の算数では、「木曜日はすべてのケーキが20%引き、日曜日は320円より安いケーキが200円。チーズケーキ(定価300円)とチョコレートケーキ(同400円)を一つずつ買う時、どちらの日に買うと、いくら安くなるか」という問題が出され、答えとそれを導く式を記述することが求められた。

 答えに至る方法は3通りあり、文部科学省は、「現実の生活には、答えが一つではない問題がたくさんある。そのことを知ってほしかった」と説明する。

 1961年度に実施された全国学力テストと比較すると、問題の傾向が大きく異なる。当時は、計算問題や読解問題を含め、すべての問題が選択式。問題数も多く、中3の国語の場合、50分の試験時間内に、長文読解を含め、33問を解かなくてはならなかった。

 首都圏の大手学習塾「栄光ゼミナール」は、「当時は高度成長期で、与えられた問題を早く正確に処理できる力が重要視され、創造性や独創性まで求められていなかった」と解説したうえで、「問題が多すぎて、今の子供たちは半分もこなせないのでは」と話す。

 今回も、国語と算数・数学で、漢字や計算問題など基礎的な「知識」を問う出題があったが、文科省が力を入れたのは、図や表を読み取るなどの応用力を試す「活用」の問題だった。

 経済協力開発機構(OECD)による2003年の国際学習到達度調査(PISA)で、読解力や文章表現力の低下が著しかった。文科省はこれらの力の向上を目指し、小学校では「活用」の24問中10問、中学校でも27問中10問を記述式問題にした。「全体的に問題の傾向がPISAにそっくり」との指摘もある。

 小学6年の国語の「活用」では、二人の読書感想文を読み比べ、「共通する良い点」を二つ記述する問題が出されている。文科省の担当者は、「教室の中でも、同じような授業を行えるはずで、現場の教師が自らの指導方法を見つめ直すきっかけにしてもらえれば」と話している。

 PISA Programme for International Student Assessmentの略。15歳を対象に、身につけた知識や技能をどの程度、実生活に生かせるかを試す調査。2000年は32、03年は41の国・地域が参加した。日本は03年調査で「読解力」が8位から14位に順位を下げた。


学校の序列化 懸念


情報公開 対応悩む自治体

 今回の全国学力テストの最大の狙いは、各学校や自治体に、全国的に見てどのくらいのレベルにあるかを知ってもらう点にある。

 これまでも独自の学力テストを実施している自治体は多く、昨年度は計62の都道府県と政令市のうち、52自治体が独自テストを行っていた。文科省によると、学習内容を3割削減した現行の学習指導要領が小中学校に導入された2002年度以降、こうした動きが本格化しており、学力低下への危機感が背景にあるのは間違いない。ただ、あくまで各自治体内での分析にとどまり、全国での位置づけはわからなかった。

 これに対し、今回は、都道府県教委や市町村教委、各学校にそれぞれ細かなテスト結果が届けられる一方、国全体の科目別平均点や問題ごとの正答率が公表されるため、各学校などは手元のテスト結果と全国平均などを比較できる。「それぞれが弱点を見つけ、独自の学力向上策につなげてほしい」と文科省は言う。

 しかし、テスト結果の使い方によっては、学校の序列化を招く懸念もある。

 文科省は、学校間の競争をあおらないよう、学校別の成績を把握する都道府県教委や市町村教委に対し、これらのデータを公表しないよう求めている。だが、住民や保護者への説明のため、学校が各自の結果のみを公表することは認めているため、公表された結果を集めれば、順位づけも可能になる。

 また、学校別の成績などを情報公開請求された場合、文科省は「不開示情報として取り扱う」と決めているが、都道府県教委などへの強制力はなく、対応を決めかねている自治体も少なくない。

 大阪府枚方市が独自に実施した学力テストを巡っては、住民が学校別の成績の公開を求める訴訟を起こし、今年1月、大阪高裁が公開を命じ、同市は学校別の成績を公開している。

 河合文化教育研究所の丹羽健夫・主任研究員は「学校が序列化されると、学校現場がテストの成績を上げるため、一生懸命になってしまう恐れがある」と指摘。「情報公開請求をされると、行政側は公開せざるを得ないかもしれないので、学校の序列化による弊害や今回のテストの趣旨を住民に説明し、理解を求める必要がある」と話している。


生活の中で学ぶ姿勢を

 「次回のPISA調査で日本の成績を上げるための模擬試験なのでは」。教育関係者の間からはこんな言葉が聞こえる。国が、同調査を意識した問題作成を行ったのは事実だが、今回のテストで試された思考力や表現力は、今の子供たちが最も苦手とする力であることも確かだろう。今回は、日常生活を題材にした出題も多かった。普段の生活の中で、多くのことを考え、学ぶ姿勢を身につけさせることが学力向上への近道なのかもしれないと感じた。(村井)

(2007年4月25日 読売新聞)

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新教育の森:全国学力テスト 高口努氏/近藤彰郎氏

毎日新聞 2007年4月16日
 全国の小学6年生と中学3年生を対象にした「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)が24日実施される。公立では愛知県犬山市教育委員会が、私立は約4割が不参加としているが、全国の約240万人の児童・生徒が一斉にテストに臨む。全国的なテストの実施は約40年ぶり。なぜ今全国一斉のテストを行うのか。不参加の理由は。それぞれの考えを聞いた。【佐藤敬一】

 ◇教育の質が向上、序列化起こらぬ−−文部科学省学力調査室長・高口努氏

 −−今回の全国学力テストの狙いは。

 ◆全国的な義務教育の機会均等と水準保持のため、児童生徒の学力・学習状況を把握・分析し、教育の結果を検証して改善を図る。各教育委員会や学校には、調査結果を施策や指導方法の改善につなげて、教育の質の向上を図ってもらう。

 −−学力を測るのであれば全児童生徒対象ではなく、抽出調査で十分という声もあるが。

 ◆今回の調査は各地域における児童生徒の学力・学習状況がどうなっているかをきめ細かく把握・分析することを目的としている。そのためにはすべての児童生徒を対象にするのが適当であると考えた。

 −−調査の実施が4月で結果の公表が9月では遅いのではないか。

 ◆できるだけ早く結果を返してほしいという現場のニーズもあるので努力していきたい。結果の公表の前に、実施後速やかに指導のポイントを記した資料も配る。今回は全国約240万人の小中学生を対象にした大規模な調査。採点集計には時間がかかることをご了承いただきたい。

 −−市町村ごとや学校ごとの結果の公表はなぜしないのか。

 ◆現段階で市町村ごとや学校ごとの状況を公表するのは影響が大きい。都道府県が実施している学力調査でも市町村単位まで公表しているのは05年度調査で38都府県中8都県にとどまる。序列化や過度な競争につながる恐れがあるので、結果の公表は都道府県ごとまでとし、市町村ごとや学校ごとの公表はしない。

 −−それでも市町村や学校は自らの判断で結果を公表することができることになっており、結果的に序列化につながるのではという懸念が強い。

 ◆各学校には公表する際には、調査の結果だけでなく、学校の取り組み状況や課題に対してどう対処していくかも一緒に説明するよう求めている。いろいろな視点で結果を出すので単純な序列化にはならないのではないか。調査の結果だけを見て一喜一憂するのではなく、きちんと現状を把握して改善につなげていくことが一番大事だ。

 −−公立では愛知県犬山市教委、私立では約4割が不参加だが。

 ◆犬山市教委は独自にいろいろな取り組みをしており、成果をぜひ今回の学力調査で実証していただきたかった。調査は今回だけではないので、私立も含めて今後も参加を呼びかけていきたい。

 ◇目的明確でない、メリットわずか−−東京私立中学高校協会会長・近藤彰郎氏

 −−校長を務める八雲学園中・高校(東京都目黒区)をはじめ私立は約4割が全国学力テストには不参加。それはなぜか。

 ◆学力テストをやること自体に反対しているわけではない。ただ、あえてテストを受けるメリットがゼロではないにしてもほとんどない。それだったらもっと違うことを1日かけて生徒たちにやらせてあげたほうがいいと考えた。私立は各学校で判断してくださいということだったのでそれぞれが判断した。4月は新年度に入ったばかりで行事と学校生活が目白押し。そんな中で1日かけてテストをやっても結果がもらえるのは9月。進路を決めなくてはいけない中学3年生が、半年後に結果をもらってもその後の指導に生かせない。

 −−結果が出てくるのが遅いと。

 ◆私立の場合、ほとんどの学校では学内テストも外部の業者テストも年何回もやっていて、受けた生徒が足りないのはこういうところだというのは常に分かっている。結果だけならば1週間ぐらいで出るはず。そのテストを受けた子どもたちに素早いフォローがされないテストに何の意味があるのか。また、対象がなぜ国語と数学の2科目だけなのかも分からない。

 −−文科省は序列化につながらないよう市町村ごとや学校ごとの結果は公表しないとしている。

 ◆逆だと思う。やるのだったら出すべきだ。60億円の国費をかけてやるのだったら、あなたは全体の中でどこにいるんですよというのを教えてあげていいと思う。競争がいけないという人もいるが、それをきちんと認識してうまく子どもたちを向上させてあげればいい。国として学力を測りたいというのが目的であれば、統計学的にはすべてを対象にするのではなく、抽出したものを何年かごとに繰り返して分析していくのが普通では。

 −−今年は不参加だが参加に転じる可能性も。

 ◆それはある。テストの目的がはっきりして意味があるなと判断すれば参加する。今回は私立にとっては目的もはっきりしないし、結果も生かせない。文科省は何のためにこの全国学力テストをやるのかというのをもっと我々現場に投げかけてほしい。

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 ◇学者から批判次々−−都内でシンポ

 シンポジウム「このままでいいのか全国学力テスト」が3月31日、東京都内で開かれた。シンポジウムは教育学者らが呼び掛け人となり、学校関係者ら約180人が参加した。

 公立で唯一不参加を決めた愛知県犬山市教委の教育委員である中嶋哲彦・名古屋大学大学院教授(教育学)は「果たして学力テストで学力が上がるのか疑問。犬山の子は犬山で育てる。全国学力テストは自分たちの教育をつくっていこうという地方自治体の営みを全部押し流してしまうものだ」と批判した。藤田英典・国際基督教大学大学院教授(教育社会学)も「今教育現場では早期選別、振り分けがどんどん進んでいる。全国学力テストは義務教育の序列化につながる。サンプル調査(抽出調査)にすべきだ」と意見を述べた。

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 ■ことば

 ◇全国学力・学習状況調査

 全国の国公私立の小学6年生と中学3年生の全児童生徒を対象に文部科学省が行う国語、算数(数学)の試験。「知識」と「活用」に関する2種類の問題が出題されるほか、生活習慣や学習環境などを尋ねる調査もある。予算は約60億円。以前行われていた同様調査は、学力偏重、過度の競争に陥るなどの批判があり、66年度を最後に廃止された。学力低下の指摘があることなどを背景に、今回は約40年ぶりに実施される。文科省は平均点の公表は都道府県単位にとどめるとしているが、説明責任を果たすために市町村や学校が自らの判断で公表することはできる。調査の発送、採点、集計などは小学校はベネッセコーポレーション、中学校はNTTデータに委託する。



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学力テスト 43年前担当の奥田真丈氏

4月23日 産経新聞
 ■「公教育の活性化期待」

 全員参加の学力調査では43年ぶりとなる全国学力テストが24日、小6と中3を対象に行われる。旧文部省の調査局調査課長として当時、テストの実施に汗を流した芦屋大学理事長、奥田真丈氏(84)が産経新聞社のインタビューに応じ、当時の苦労などを振り返った。また今回の“復活”で、生徒の親や地域住民が学校を評価する上での貴重なデータが得られると指摘、テストへの期待を述べた。(小田博士)

                   ◇

 −−当時はどんな風に実施したのか

「予備調査を3県で行って、うまくいくかどうかを調べ、1年後に行った」

 −−苦労した点は

「日教組は学習指導要領に反対だから、その到達度を調べる学力テストにも同じ理屈で、組合員には石を投げられた。出先ではトイレに入るのも怖かった」

 −−昭和41年を最後にテストをやめた理由は

「自治体間の競争が激しくなったから。成績が優秀な県では『できない子を休ませている』との話が出回るなど、弊害も出た」

 −−今回、復活した背景をどうみるか

「少子化で子供の数が減っている上に景気が良くなり、家庭では教育費にかける財政的余裕が生じた。進学熱が高まっている」

 −−期待する点は

「(親や地域住民が)学校を評価する上で貴重なデータとなるはず。進学に強い私立だけが尊ばれるのは問題なので、公教育の活性化につながればと思う」

                   ◇

 ■生活態度調査も/答案返されず

 全国学力テストの疑問点についてまとめた。

 Q 試験内容は?

 A 国語と算数・数学で、それぞれ基礎と応用問題にわかれる。学習態度   や生活態度のアンケートも行われる。

 Q どんなことが分かる?

 A 全国と都道府県ごとの成績を公表する。都道府県には市町村ごと、市   町村には学校ごと、学校には1人ずつの成績を通知する。自分の県が   全国でどのレベルにあるかや、生活習慣と成績の関係などが分かる。

 Q 答案は返される?

 A 返されない。プライバシー保護の意味もあり、採点や集計作業が終わ   ったら焼却される。その代わり、問題ごとの正答や間違いの状況が分   かるような個票が9月ごろに渡される予定。

 Q 休んだ場合はどうなる?

 A 欠席、遅刻、早退した場合は後で受験できる。ただし、全体集計には含まれない。

 Q 私立の扱いは?

 A 全国集計には含むが、都道府県や市町村の集計には入れない。

                   ◇

【用語解説】全国学力テスト

 戦前の昭和初期、徴兵検査の際に成人を対象に漢字の読み書きや読解力を調べた「壮丁教育調査」が前身。高度経済成長期の昭和31年、旧文部省が戦後初めて、小中高の約120万人に対し、全国規模の学力テストを実施した。36年、全員参加へ拡大すると、日教組が反対闘争を激化させ、逮捕者も出る事態に。このため同省は40年から抽出型に縮小、41年、「教育課程の改善に必要な資料を得られた」として、翌年度からの中止を決めた。
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<学力テスト>24日全国で実施 小6と中3対象に

4月23日 毎日新聞
 小6と中3の全児童・生徒を対象とした全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)が24日、国公私立の計3万2756校で行われる。全児童・生徒対象の一斉テストは64年度以来43年ぶりで、計233万2000人が参加する。公立では、愛知県犬山市(小中学校14校)が唯一不参加となるほか、私立学校も4割弱が参加を見送る。

 文部科学省によると、参加するのは、国立154校(参加率100%)▽公立3万2068校(同99.9%)▽私立534校(同61.5%)。修学旅行などのため、後日実施する学校もある。

 また、小6向けの解答用紙に名前に代わって番号を記入する「番号方式」を採用する自治体は237(全体の約12%)に上る。東京、大阪、京都など都市部に多く、公立学校は約16%に当たる計5282校。小6に限っては、本来は氏名を記入する方式だったが、プライバシーや個人情報保護に配慮し、例外措置として番号方式が急きょ認められていた。

 テスト結果は9月に公表予定だったが、政府の教育再生会議が前倒しを求めており、文科省はデータの集計が終わり次第発表する方針。【高山純二】

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犬山市・学力テスト不参加で

3/5 中日新聞
文部科学省が4月24日に実施する全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)に犬山市教育委員会が全国で唯一、不参加を表明している問題について、犬山市議会定例会で1日、2氏が一般質問した。瀬見井久教育長は「競争原理を教育に持ち込めば、間違いなく学力格差が生じる」とあらためて不参加の理由を説明。これに対し田中志典市長は「受けたいという市民の声に耳を傾けるべきだ」と述べ、同じ理事者側で答弁が分かれた。

小池昭夫議員(白帝会)は「アンケートでは参加したい保護者の方が多い」とし、市教委の競争原理に対する考え方や、犬山市の教育の評価などについてただした。瀬見井教育長は「競争をあおることは子どもの格差を助長し、すべての子に学力を保障するという義務教育の本旨に反する」と答えた。

さらに「今回のテストは行政調査にすぎず、授業改善のためのテストとは異なる」と強調し「反対しているのが犬山市教委だけなのは憂うべきだ」と他の教委を批判した。一方、田中市長は「多くの市民から受けたいという意見が寄せられている」と、市民に目を向けた教育行政が必要との姿勢を示した。

また、東海孝年議員(共産)は文科省が委託した民間企業に個人情報が流れることの問題点について質問した。これに対して市教委は「大きな問題だ」としたが、田中市長は「その指摘には賛同しかねる」と答弁した。(早川昌幸)
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全国学力テスト 個人情報を国と大企業が握る

2007年3月2日 しんぶん赤旗

主張
 文部科学省が予定している全国一斉学力テスト(四月二十四日)が実施されれば、日本全国の小中学校の子どもと家庭の個人情報を受験産業と国が握ることになるという重大な問題に懸念の声があがっています。

「質問紙」に書き込ませて
 文科省の全国学力テストは、小学校六年生と中学三年生のすべての児童・生徒に、国語と算数・数学のテストを全国一斉に受けさせ、学校と子どもに成績順の序列をつけるというものです。子ども、学校間に過度の競争とふるいわけを強いる全国学力テストは、子どもの心を傷つけ“学校嫌い”をひろげ、“すべての子どもに基礎学力を身につけさせたい”という国民の願いに逆行します。

 加えて浮かび上がってきたのが個人情報保護にかかわる問題です。

 全国学力テストには、教科のテストとともに、学校や家庭での勉強や生活について子どもにたずねる「質問紙」があります。

 昨年十一―十二月に実施された全国学力テストに向けた予備調査では、「質問紙」の回答用紙に、学校名、男女、組、出席番号とともに、名前を記述するよう求めています。質問は、生活習慣や人間関係、教科の好き嫌いなど九十二項目に及びます。

 「今住んでいる地域が好き」か、など内心にかかわる質問、「あなたの家には本が何冊くらいありますか。(教科書や参考書、漫画や雑誌は除きます)」など、家庭環境にかかわる質問が数多くあります。

 これらの個人情報を文部科学省が一手に握るだけではありません。全国学力テストの回収、採点、集計、発送業務は民間企業に委託します。小学校は進研ゼミで知られるベネッセコーポレーション、中学校はNTTデータが教育測定研究所・旺文社グループと連携してあたります。受験産業が業務を請け負うのです。

 子どもへの百項目近い質問と教科テストで得た個人情報を、これらの民間大企業も独占できるのです。塾やけいこごとにかかわる質問も少なくありません。「一週間に何日、学習塾(家庭教師を含む)に通っていますか(夏休みなどを除く)」と質問し、答えも「毎日」「六日」「五日」「四日」「三日」「二日」「一日」「通っていない」の八項目を用意するほどの念の入れようです。

 個人名までかかせて、通塾状況をこんなにくわしく質問すること自体、「特定の営利企業が国民の税金をもって、自分たちに有利なデータを独占的にとることがあってはならない」(伊吹文明文部科学相、二月二十一日衆院文部科学委員会)とされる行為です。

 日本共産党の石井郁子衆院議員が求めたように、全国学力テストへの参加・不参加は児童・生徒、学校、教育委員会の判断にまかせ、個人名を書かないことも認めるべきです。

情報の紛失、流出の恐れ
 民間企業が請け負う学力テストをめぐっては、最近も山梨県と長野県の十五の小学校約二千人分の個人名入りデータが紛失する事故が起こっています。業務を請け負った企業が委託した電算処理システム会社から、別の配送会社へ運送会社が搬送する過程で不明になっています。

 全国学力テストを請け負う大手企業も物流を中心に工程によってそれぞれ企業に業務を委託します。全国学力テストで得られる個人情報は、先の紛失事故の比ではありません。

 受験産業と国が全国の子どもと家庭の個人情報を握る全国学力テストは、個人情報保護の観点からも重大であり、中止すべきです。
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全国学力テスト 受験産業に個人情報

2007年2月22日(木)「しんぶん赤旗」
氏名明記 塾通いの有無まで調査 石井議員、中止を要求
 四月二十四日に小学六年と中学三年を対象に行われる全国一斉学力テストについて、委託先のベネッセコーポレーションとNTTデータが採点・集計を行い、こうした企業に個人情報が流れる危険性が明らかになりました。二十一日の衆院文部科学委員会で石井郁子議員は「個人情報を受験産業と国が握ることになり重大な問題だ」と指摘し、学力テストの中止を求めました。

 学力テストには国語と算数・数学の学力調査のほかに「児童・生徒質問」があり、「一週間に何日学習塾に通っていますか」「学習塾でどのような内容の勉強をしていますか」などを学校名、個人名を明記して答えさせます。石井氏は、ベネッセは「進研ゼミ」を事業の一つにした受験産業、NTTデータは旺文社と一緒になってテスト開発を行っている企業と連携していると指摘し、「受験産業がさらに拡大する」と追及しました。

 また昨年実施した予備調査では、学校への「質問紙」もありました。不登校、生活保護世帯の児童の割合、「校長の裁量経費があるか」など学力テストとは関係のないことまで聞いています。

 伊吹文明文部科学相は「特定の営利企業が国民の税金を持って自分たちに有利なデータを独占的にとることはあってはならない」と述べつつ、「契約書の内容として、企業が営業活動に使うことになれば処罰される。そういうことはきちっとやっている」と個人名の記入などを容認しました。

 石井氏は、学力テストの中止を要求するとともに(1)学力テストへの参加・不参加は生徒、学校、教育委員会の判断に任せる(2)個人名を書かないことも認めるべきだと強く求めました。


解説
個人情報巡る大問題示す
全国学力テスト 石井議員質問
 全国一斉学力テストをとりあげた二十一日の衆院文部科学委員会の日本共産党の石井郁子議員の質問は、同テストが個人情報保護にとって重大な問題をもつことを明らかにしました。

 同テストでは、試験問題・解答用紙とともに、児童・生徒にたいする「質問紙」を配り、子どもたちは学校名、個人名を書いて提出します。

 石井氏は、昨年十一―十二月に行われた全国学力テストに向けた予備調査の問題例をあげました。

 通塾状況など受験産業が欲しくてたまらないような質問ばかりが並んでいます。個人名をかけば、点数から生活状況まですべての回答が個人情報となります。「自分は、家の人から大切にされている」「あなたの家には本が何冊くらいありますか」などの質問まであります。これは、学力調査の目的を超えて個人・家族の状態まで聞き出すものです。

 この情報の集計を行うのが、文科省が事業を委託した二つの企業です。小学校は、進研ゼミで知られるベネッセコーポレーション、中学校はNTTデータが担当します。

 また予備調査では学力調査に名をかりた学校情報の収集ともいえる質問をしており、文科省が学校にたいする直接統制に乗り出すことができるようになっています。

 日本共産党は、全国学力テストが競争教育を激化させ、子どもと学校を序列化するとして反対してきました。今回さらに文科省と一部企業が子どもと学校の情報を一手に握り、受験産業と結託した国による教育の管理統制につながりかねないことが浮き彫りになりました。

 また銭谷真美初等中等教育局長は学力テストの費用として、民間企業に計六十七億円(〇六年度に十八億円、〇七年度に四十九億円)の税金が支払われると答弁。学力テストで民間企業が巨額の「甘い汁」を吸う構図です。(藤原 直)
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小中学生対象の全国学力調査

4月に約40年ぶりに小中学生対象の全国学力調査が行われます。公立は100%参加で私立は6割参加とのこと。ただ東京の私立の参加は2割ということで各都道府県で差があるようです。

ゆとり教育についての議論が進む中、全国学力調査の結果も気になるところですし、結果によっては、公立中高一貫校などにも影響を与えるでしょう。しかし、東京の私立校のコメントは強烈です。

女子学院は
「調査の必要性を感じない」
「私立は独自のカリキュラムを採用しており、それぞれ学習進度が違う」
「公立の場合は、学力調査の結果、点数が低いところには手厚く補うということかもしれないが、私立の場合は比較データが出てもあまり意味がない。授業をしたほうがいい」

慶応義塾中等部
「独自に年間計画を立て、授業時間を決めているので、その1日を調査にあてるのではなく、授業に使いたい」

開成中学
「4月下旬は、運動会に向けての準備やボートレースの応援練習などで多忙な時期で時間がとれないことに加え、初めてでもあって今回は様子を見ることにした」

40年ぶりに行われる小中学生対象の全国学力調査についての記事を時系列に紹介します。


2007年02月16日 asahi.com
全国学力調査、公立は犬山市を除き参加 私立は約6割

4月に約40年ぶりに行われる小中学生対象の全国学力調査について、文部科学省は16日、国公立は愛知県犬山市立を除くすべての学校、私立は全体の62%が参加するとの見通しを明らかにした。

都道府県や教育委員会を通じて調査していたもので、同省は「公立はほぼ100%の参加で、調査の趣旨を理解してもらえたと考えている。私立は参加の必要性を感じない学校もあると思うが、今後も趣旨を説明していきたい」と話している。

調査は小学6年と中学3年を対象に行われる。公立校については、参加の有無が各市町村教委に委ねられている。犬山市は「調査が教育理念にあわない」として、参加を見送ると回答したという。


2007年02月16日 asahi.com
全国学力調査、東京私立の参加率2割止まり

4月に約40年ぶりに実施される全国学力調査について、東京都内の私立校の参加は約2割にとどまり、全国の私立平均の約6割より大幅に低いことが16日、わかった。不参加校は「自校のカリキュラムを優先した」「学力の把握は自前でやっている」など、様々な理由を挙げている。(根本理香、上野創)

都の担当者によると、学力調査に参加する私立校の割合は21%。内訳は、小学校が全52校のうち16校で31%、中学は178校のうち32校で約18%となった。

進学校として知られる女子学院は「調査の必要性を感じない」として不参加を決めた。田中弘志院長は「私立は独自のカリキュラムを採用しており、それぞれ学習進度が違う」とし、「公立の場合は、学力調査の結果、点数が低いところには手厚く補うということかもしれないが、私立の場合は比較データが出てもあまり意味がない。授業をしたほうがいい」と話した。

慶応義塾中等部の山崎俊一主事も「独自に年間計画を立て、授業時間を決めているので、その1日を調査にあてるのではなく、授業に使いたい」と言う。

開成中学にとって学力調査が行われる4月下旬は、運動会に向けての準備やボートレースの応援練習などで多忙な時期という。宮崎哲朗教頭は「時間がとれないことに加え、初めてでもあって今回は様子を見ることにした」。

参加率が低い理由について、東京私立中学高等学校協会の近藤彰郎会長は、「東京の私立は学校の順位が(模擬試験などの)偏差値でわかっているし、生徒それぞれの伸びを見るには外部の模試なども利用している」と指摘。「参加するよう圧力を行政当局から受けた地域もあると聞くが、東京は私立の独自性・自主性からあくまで任意というスタンスを確認してある」と強調した。
 
2007年2月10日 毎日新聞
全国学力テスト:不参加撤回を 愛知・犬山市議が市と市教委に申し入れ 

全国学力テストへの不参加を表明している犬山市で、同市議16人が9日、不参加を撤回し、児童が参加できるようにすべきだとする申し入れ書を丹羽俊夫・市教委委員長と田中志典市長に手渡した。

申し入れ書は、市議21人中、共産4人と無所属1人を除き、無所属14人と公明2人が署名。「全国学力テスト・学習状況調査は、自治体間や学校間を競争させるものでなく、児童生徒の全国的な学習到達度・理解度の把握を検証し、教育指導の改善や教育環境の充実を図るもの」と参加できるよう求めている。

同市教委は昨年2月、「子供の学力評価は全国一律テストではできない」と不参加を表明、石田芳弘市長(当時)も同じ考えを示した。だが、昨年12月の市長選で初当選した田中市長は「参加を希望する児童、保護者の権利を行政が奪うことはできない」と発言し、市教委との対立が表面化。市教委は16日から教職員と保護者を対象に市の教育改革について説明会を始める予定で、保護者からどんな意見が出されるか注目される。【花井武人】

2007年02月11日 asahi.com
学力テストに懸念の声、廃止の海外事例を報告 教研集会

大分県で開かれている日本教職員組合の教研集会で11日、学力向上を目指して約20年前に学力テストを導入しながら、「逆効果だ」として廃止した英国・ウェールズからの報告があった。日本では4月に約40年ぶりの全国調査が予定されている。参加した教師たちからは学力テストへの懸念の声が上がった。

学力問題をテーマにした特別分科会で、ウェールズ大のリチャード・ドーエティ名誉教授が講演。80年代後半に7、11、14歳の学力テストを導入した結果、学校の授業内容が出題科目に偏り、テスト対策の授業が繰り返されるようになった。さらに、テストが学力向上につながっているのか疑問が出たため、04年に廃止することを決めた経緯を報告した。英国では現在、イングランドでは継続しているが、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの各地方ではいずれも実施していないという。

ドーエティ名誉教授は「学校は子どもや保護者、地域に説明責任を果たさないといけない。しかし、それをテストの数値結果だけに頼ると無理が出る」と指摘。テストの必要性も認めながら、一人ひとりの勉強状況を把握し、個別に評価することの大切さを強調した。

会場からは、学力テストを実施している都道府県の例なども紹介され、「学力は、既にあるサンプル調査や国際的なテストでも分かる。新たに全国一律のテストを実施することのメリットがない」という慎重な意見が目立った。

学力問題の特別分科会は今年で5年目。日教組は「一つの区切り」として終了する方針だったが、参加者から「全国調査が実施されようとしている今こそ、継続することに意義がある」という声が相次ぎ、今後の検討課題となった。

2007年2月16日 毎日新聞
全国学力テスト:不参加、私立の4割 公立は犬山市−−「全国一律」不可能に
 
4月24日に行われる全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)で、私立学校871校のうち約4割の332校が不参加になることが16日、文部科学省の調査で分かった。一方、公立学校は愛知県犬山市教育委員会が不参加と回答し、参加率は99・96%になる。文科省は全国一律の実施を目指してきたが、不可能な状況になった。

全国学力テストは、原則として小6、中3の全児童・生徒が対象。調査によると、国公私立別の参加校数は、国立が調査対象者の在籍する160校のすべて(参加率100%)▽公立は同3万2119校のうち3万2105校(同99・96%)▽私立は同871校のうち539校(同61・88%)。

私立の不参加校は都市部の学校に多くみられ、理由には全国学力テストが「独自の教育理念や方針」と異なることを挙げているという。また、犬山市教委は「独自の教育理念に合わないので、参加することに支障がある」と説明している。

文科省は全国一律の調査が不可能な状況について、「できるだけ多くの人に参加してもらったほうが正確な数字が出てくる。ただ、(テストの)中心は公立学校だと考えている」と話している。【高山純二】

2007年2月17日(土) しんぶん赤旗
全国学力テスト“個人情報保護されず”文科省に 全教が中止求める

全教(全日本教職員組合)は十六日、文部科学省が四月二十四日に実施する全国一斉学力テストについて、「学校や子どもどうしを競争させ、序列化するという問題点とともに、個人情報保護の点でも大きな問題が浮かび上がっている」としてテストを中止し、実施方法を抜本的に見直すよう同省に申し入れました。

新たな問題として浮かび上がっているのは、文科省と委託を受けた民間企業の「ベネッセコーポレーション」「NTTデータ」に全国の小学校六年生、中学校三年生、二百万人以上の家庭状況も含めた個人情報が集まることです。個人情報保護法に抵触する恐れもでています。

全教によると、文科省が教育委員会や学校に送った実施マニュアル(一月十九日付)では、小学校にはベネッセ、中学校にはNTTデータから問題と解答・回答用紙を送付。「学校名、男女、組、出席番号、名前(漢字とフリガナ)」を記入させます。解答・回答用紙は、そのままこん包して両企業に送り返すよう指示しています。

全教は、この間実施された予備調査などからみて、回答用紙に「塾に行っているか」など家庭状況まで記入させる恐れがあると推測しています。

この日の申し入れで全教の代表は、子どもに固有名詞を書かせることについて、事前に子ども、父母・保護者に知らせ、了解をとるという手続きもおこなっておらず、重大な人権侵害になると指摘。実施方法の慎重な検討をおこなったのかどうかを社会的に明らかにすべきだと求めました。

申し入れ後、記者会見した山口副委員長は、文科省が全国一斉学力テストについて「全国的な義務教育の機会均等と水準向上のため」に児童・生徒の学力・学習状況を調査するものと説明してきたことを指摘。「こうした目的のためなら、テストは無記名でもすむはずだ。記名させることは、児童・生徒を点数で序列化することをねらっているからだ」と語りました。

すでにこうした実施方法には懸念の声が広がっていることをあげて、父母・保護者らが無記名を希望した場合は尊重すべきだと強調しました。
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受験産業に個人情報 氏名明記 塾通いの有無まで調査

2007年2月22日(木) しんぶん赤旗
石井議員、中止を要求

 四月二十四日に小学六年と中学三年を対象に行われる全国一斉学力テストについて、委託先のベネッセコーポレーションとNTTデータが採点・集計を行い、こうした企業に個人情報が流れる危険性が明らかになりました。二十一日の衆院文部科学委員会で石井郁子議員は「個人情報を受験産業と国が握ることになり重大な問題だ」と指摘し、学力テストの中止を求めました。

 学力テストには国語と算数・数学の学力調査のほかに「児童・生徒質問」があり、「一週間に何日学習塾に通っていますか」「学習塾でどのような内容の勉強をしていますか」などを学校名、個人名を明記して答えさせます。石井氏は、ベネッセは「進研ゼミ」を事業の一つにした受験産業、NTTデータは旺文社と一緒になってテスト開発を行っている企業と連携していると指摘し、「受験産業がさらに拡大する」と追及しました。

 また昨年実施した予備調査では、学校への「質問紙」もありました。不登校、生活保護世帯の児童の割合、「校長の裁量経費があるか」など学力テストとは関係のないことまで聞いています。

 伊吹文明文部科学相は「特定の営利企業が国民の税金を持って自分たちに有利なデータを独占的にとることはあってはならない」と述べつつ、「契約書の内容として、企業が営業活動に使うことになれば処罰される。そういうことはきちっとやっている」と個人名の記入などを容認しました。

 石井氏は、学力テストの中止を要求するとともに(1)学力テストへの参加・不参加は生徒、学校、教育委員会の判断に任せる(2)個人名を書かないことも認めるべきだと強く求めました。

解説
個人情報巡る大問題示す
全国学力テスト 石井議員質問
 全国一斉学力テストをとりあげた二十一日の衆院文部科学委員会の日本共産党の石井郁子議員の質問は、同テストが個人情報保護にとって重大な問題をもつことを明らかにしました。

 同テストでは、試験問題・解答用紙とともに、児童・生徒にたいする「質問紙」を配り、子どもたちは学校名、個人名を書いて提出します。

 石井氏は、昨年十一―十二月に行われた全国学力テストに向けた予備調査の問題例をあげました。

 通塾状況など受験産業が欲しくてたまらないような質問ばかりが並んでいます。個人名をかけば、点数から生活状況まですべての回答が個人情報となります。「自分は、家の人から大切にされている」「あなたの家には本が何冊くらいありますか」などの質問まであります。これは、学力調査の目的を超えて個人・家族の状態まで聞き出すものです。

 この情報の集計を行うのが、文科省が事業を委託した二つの企業です。小学校は、進研ゼミで知られるベネッセコーポレーション、中学校はNTTデータが担当します。

 また予備調査では学力調査に名をかりた学校情報の収集ともいえる質問をしており、文科省が学校にたいする直接統制に乗り出すことができるようになっています。

 日本共産党は、全国学力テストが競争教育を激化させ、子どもと学校を序列化するとして反対してきました。今回さらに文科省と一部企業が子どもと学校の情報を一手に握り、受験産業と結託した国による教育の管理統制につながりかねないことが浮き彫りになりました。

 また銭谷真美初等中等教育局長は学力テストの費用として、民間企業に計六十七億円(〇六年度に十八億円、〇七年度に四十九億円)の税金が支払われると答弁。学力テストで民間企業が巨額の「甘い汁」を吸う構図です。(藤原 直)

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