全国学力テスト 競争あおらぬ冷静な対応望む

2007年4月26日 宮崎日日新聞
 「ゆとり教育」批判がこんな形で具体化されてきたとみていい。その実施の姿勢にも性急な印象は否めない。

 文部科学省の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)が行われた。全児童・生徒対象の一斉テストは43年ぶりである。

 全国で小学校6年、中学校3年の233万人余がテストに臨んだ。不参加は公立では愛知県犬山市教育委員会、私立は約4割だった。

 本県でも小中の約420校、約2万4千人が問題に取り組んだ。

 結果を直接に学校評価に結び付けて序列化したり、いたずらに競争をあおらないよう冷静な対応が必要だ。

■序列化過熱する恐れ■

 調査目的に挙げられているのは、国の教育施策検証と、学校の教育改善の二つだ。

 まず問題なのは、結果を受けて国としてどう対応するのか、基本的な構えが見えてこないのだ。

 「結果の悪い学校の底上げにつなげたい」(文科省)という考えの一方で「教育の質の高い学校を予算で優遇」(教育再生会議)などの案や、学校選択制度の全面的導入につなげようという動きもある。

 結果を受けてどうするのか。肝心な部分を明らかにしないのは無責任のそしりを免れない。格差解消の手だても示さないまま競争強化に向かう…。それが正直な印象だ。

 もう1つある。教委、学校による教育改善も「全国的な状況との関係において自らの教育の結果を把握し改善を図る」という触れ込みだ。

 つまりは序列を知り順位を上げる努力をしろ、ということになる。

 順位が独り歩きすれば、競争に勝つことが自己目的化するのは避けようがない。

■国の教育介入が進む■

 結果公表についても、文科省は「個々の学校名を明らかにした公表はしない」とし、序列化や過度な競争につながらないよう配慮を求めてはいる。

 しかし一方で、「市町村教委・学校は結果を保護者に説明することができる」ともしている。リスクの種をまきながら「後は知らない」と言っているようなものではないか。

 結局、結果をどう公表するかなど責任はすべて教育現場を預かる教委、学校にのしかかってくる。
 一つ対応を誤って競争過熱ということになれば、地域で積み上げた多くの創意工夫などひとたまりもない。

 今回のテストで測れるのは、特定の教科のごく一部の学力でしかないことを肝に銘じてほしい。

 その結果を過大に扱い、学校選択の道具や教員評価に直結させることにでもなれば、学校に「テストのための勉強」がはびこり、現場主義の教育改革など一気に押し流されてしまう。

 政府の言う義務教育の構造改革は、学習指導要領という計画と学力テストという検証に国が責任を持つものだ。

 だが、計画と検証を握れば国のコントロールが強まり、教育の地方分権など絵に描いた餅もちになる。

 国の政策検証のためのテストなら全員対象でなく抽出調査で十分であり、現場の検証は教委と学校が自らの責任で行うのが基本ではないか。

 「自ら学ぶ力」をどう育てるか。その主役は市町村教委、学校である。全国学力テストという「おばけ」に振り回されてはいけない。
posted by マリンちゃん at 23:43 | Comment(0) | TrackBack(0) | 全国学力テスト
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