高校生学力調査 最大課題は教育の底上げ

2007年4月17日 山陽新聞
 文部科学省は全国の高校三年生のうち約十五万人を対象に二〇〇五年に実施した教育課程実施状況調査(学力調査)の結果を公表した。

 「ゆとり教育」を掲げる現行学習指導要領の下で学んだ高校生への大規模な学力調査は初めて。週五日制の実施や教科内容・単位数の削減などが学力低下を招いているとの強い批判があるだけに、旧指導要領で学んだ前回調査(〇二―〇三年実施)の生徒との比較が注目された。

 だが、今回の調査結果を見る限りでは学力低下はうかがえない。文科省は、前回と同様に同省が正答すると予想した「想定正答率」を大幅に下回った数学と理科などについて「課題が残る」としながらも「全体的に学力低下に歯止めがかかり、改善傾向といえる」とした。

 ゆとり教育が本当に学力低下をもたらしたのか。政府の教育再生会議では授業時間の10%増や、薄すぎる教科書の改善といった提言をするなど見直し論が急だ。しかし、調査結果からは単純なこれまでの学力低下の見方を反省する必要があろう。

 安堵(あんど)もしてはいられない。中でも懸念されるのが、数学?や英語?などで見られた高得点層と低得点層に分かれ、中間が少ない「二こぶ式」の得点分布だ。学力テストと同時に行った学習に関する意識調査でも、学校以外の勉強時間が「三時間以上」が24%いる一方で「全く、ほとんどしない」も39%だった。

 基礎学力や学ぼうとする意欲は、生徒たちが社会に出て生きていく上で大切な財産となる。授業についていけない生徒や学習意欲の乏しい生徒たちに働きかけ、確かな学力を身に付けさせることは公教育の使命である。

 原因は、個々の置かれた状況で異なっている。それぞれが、どこでつまずいたのかを分析し、少人数学級や習熟度別授業などのきめ細かな対応で底上げを図ることが求められよう。

 今回、文科省は科目別の指導改善例を示したが、全体の数値を基に平均的な高校生像を描いてのもので効果を疑問視する向きも多い。多様な学力のグループの特性や傾向を分析し、それぞれに適した指導を教育現場に提示する必要がある。

 要はデータを基に指導方法を検証し、いかに生徒のために生かせるかだ。二十四日には全国の小学六年と中学三年の全員を対象に学力テストが実施される。全国一斉テストは競争の過熱化などで約四十年前に廃止されていた経緯がある。教訓をしっかりと肝に銘じなければならない。
posted by マリンちゃん at 18:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | 学力低下
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